飲食店の立ち退き料の相場と決まり方【2026年】
この記事の要点
- 立ち退き料は家賃の数か月分〜数年分まで幅があり一律の相場はない
- 営業補償・移転費用・差額補償など複数項目の合算で金額が決まる
- 提示額の根拠を確認し専門家に相談してから合意するのが安全
飲食店の立ち退き料の相場はいくらか
飲食店の立ち退き料に全国一律の相場表はなく、家賃の数か月分から数年分まで、店舗の状況によって金額に大きな幅があります。結論から言うと、立ち退き料は「貸主が立ち退きを求める理由」「契約の種類」「営業補償の有無」の3つで決まり、同じ坪数の店舗でも数十万円の提示と数百万円の提示が両方あり得ます。目安として語られることが多いのは、家賃の6か月〜数年分という幅ですが、これはあくまで世間で言われている数字の一例であり、個別のケースでそのまま当てはまるとは限りません。
なぜ相場の幅がこれほど大きいのか
立ち退き料は法律で金額が定められているものではなく、貸主と借主の交渉で決まる性質のものです。そのため、以下のような要素で金額が上下します。
- 契約が「普通借家契約」か「定期借家契約」か
- 立ち退きの理由が建物の老朽化・再開発・貸主側の自己使用など、どれにあたるか
- 内装・厨房設備にかけた投資額(造作の価値)
- 営業中の店舗を閉めることで生じる休業期間中の損失
- 移転先を探す期間や、移転にかかる実費
普通借家契約の場合、貸主は「正当事由」がなければ契約更新を拒否できないとされており、正当事由を補完する意味合いで立ち退き料が支払われることがあります。一方、定期借家契約は契約期間の満了で終了することが前提のため、立ち退き料が発生しない、あるいは発生しても少額にとどまるケースがあります。
立ち退き料に含まれる主な項目
立ち退き料とひとくくりに言っても、中身はいくつかの項目に分かれていることが一般的です。
1. 営業補償
移転に伴う休業期間中の売上減少分を補うものです。繁盛している店ほど、この項目が交渉の中心になりやすい傾向があります。ただし売上や利益の証明が必要になるため、日頃から帳簿や申告書を整えておくことが交渉の土台になります。
2. 動産・造作の移転費用
厨房機器、内装、看板などを新しい物件に移す費用、または移せずに廃棄する場合の補償です。開業時にどれだけ初期投資をしたかによって、金額に数十万円から数百万円単位の差が出ることがあります。
3. 移転先の取得費用との差額
新しい物件の賃料が今より高い場合、その差額の一部が補償に含まれることがあります。都市部では家賃相場自体が変動するため、同条件の物件を探すだけでも時間と費用がかかる点を考慮しておく必要があります。

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無料で記事を作る →立ち退き交渉の一般的な流れ
- 貸主から立ち退きの申し入れ(書面での通知が一般的)
- 立ち退きの理由と正当事由の有無を確認する
- 貸主側の初回提示額を受け取る
- こちらの損失(営業補償・造作費用など)を整理し、根拠資料をそろえる
- 弁護士や不動産の専門家を交えて交渉する
- 合意書を取り交わし、立ち退き料と退去日を確定する
初回の提示額をそのまま受け入れてしまい、後になって移転費用が想定より膨らんで資金繰りが苦しくなるというケースがあります。提示額に根拠が示されていない場合は、算定の内訳を書面で求めることが一つの対応策です。
よくある失敗の例
- 口頭でのやり取りだけで進め、合意内容を書面に残さなかった
- 造作の投資額を示す領収書や契約書を保管しておらず、交渉時に根拠を示せなかった
- 退去日までの期間が短く、移転先の物件探しが間に合わなかった
- 弁護士に相談せず自己判断で合意してしまい、後から増額交渉ができなくなった
こうした失敗は、立ち退きの通知を受けた時点ですぐに記録を整理し、早い段階で専門家に相談することである程度防げます。
税務上の扱いにも注意する
受け取った立ち退き料は、その性質によって所得区分や課税の扱いが変わることがあります。例えば営業補償にあたる部分と、資産の譲渡にあたる部分とでは税務上の取り扱いが異なる場合があります。自己判断で申告すると後から修正が必要になることもあるため、具体的な税務上の扱いについては国税庁の案内を確認するか、税理士に相談することをおすすめします。
資金繰りの面で準備しておきたいこと
立ち退きが決まると、移転先の保証金・敷金、内装工事費、休業期間中の運転資金など、まとまった資金が必要になります。立ち退き料の支払いが移転費用の発生より後になることもあるため、一時的な資金不足に備えて、借入枠の確認や 日本政策金融公庫 の相談窓口を早めに利用しておくと、移転計画全体に余裕が生まれやすくなります。
移転後は「検索で見つけてもらう」準備も忘れずに
立ち退きに伴う移転は、集客の面でもリセットになりやすい場面です。住所が変わると、今まで来店してくれていた常連客が迷ってしまうこともあります。移転が決まった時点で、以下を早めに進めておくと、再オープン後の集客の立ち上がりがスムーズになります。
- Googleビジネスプロフィールの住所・営業時間を速やかに更新する
- 移転の告知をSNSと店頭の両方で行う
- 予約サイトやポータルサイトに登録している店舗情報も合わせて修正する
- 旧住所宛のレビューや口コミには、移転のお知らせを添えて返信する
店名や地域名で検索したときに、古い住所のまま情報が残っていると、せっかくの移転が集客の機会損失になってしまいます。立ち退きの手続きと並行して、検索されたときの見え方も整えておくことをおすすめします。
まとめ
飲食店の立ち退き料は、契約の種類・立ち退きの理由・営業補償や造作費用の有無によって金額が大きく変わり、一律の相場を示すことはできません。提示額をそのまま受け入れる前に、根拠資料を整理し、弁護士や税理士といった専門家に相談しながら交渉を進めることが、納得のいく結果につながりやすくなります。あわせて、移転後の集客導線を早めに整えておくことも、経営を立て直すうえで重要な準備のひとつです。
よくある質問
- Q. 飲食店の立ち退き料はどうやって決まりますか?
- A. 法律で金額が定められているわけではなく、契約の種類や立ち退きの理由、営業補償・造作費用の有無などをもとに貸主と借主の交渉で決まります。
- Q. 定期借家契約でも立ち退き料はもらえますか?
- A. 定期借家契約は契約期間の満了で終了することが前提のため、立ち退き料が発生しない、または発生しても少額にとどまるケースがあります。契約内容を確認し、不明な点は弁護士に相談することをおすすめします。
- Q. 立ち退き料には税金がかかりますか?
- A. 受け取った立ち退き料は性質によって課税の扱いが異なる場合があります。具体的な扱いは国税庁の案内を確認するか、税理士に相談してください。
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